【ネタバレ】貞子見てきたよ
人間誰しも、自分の身は絶対に安全な領域に置きながら危険を眺めることは結構好きだと思う。
安全に怖い思いをしたい瞬間ってあると思う。
ちょうどその時が来たので日曜日に貞子を見に行ってきた。
正直これまで貞子が登場する映画は一切見たことがない。
とはいえ、貞子といえば最も有名な日本の幽霊の一人じゃない。
だから概要は知ってる。
生きてる間に大変な思いをされて、その後幽霊へと変身を遂げた方で
ビデオを通じて日本全国津々浦々されてるってことは知ってる。
昔付き合ってた人に貞子の生い立ち聞いてそりゃ恨むし、呪うな。と納得した記憶がある。
(実際映画を見たら全然違ったし多分私は何かと勘違いしてる。
でもまあ違ったけど大変な生い立ちであることに間違いはなかった)
とまあ、最初私は貞子の肩を持ってたわけ。
でも映画見て180度変わった。
超理不尽。
時代がブルーレイディスクですから
ビデオ通じてやって来るんじゃなくて今回は撮ったら呪われるシステムらしい。(予告いわく)
これからのこと考えたらコロコロ設定変えなくて済むからそっちの方がいいかもね。
映像は無くならないような気がするし、
今って映像全盛期だと思うし時代に合ってる。
TikTokやらYouTubeとかインスタでみんなバンバン動画撮ってるし。
初期設定の段階で映像からやってくるのは賢い選択だったね。
しかし、手を変えてまでして関係ない人呪わなくてよくない?
発端は池田エライザちゃんの弟が火事のあった団地で貞子を撮っちゃったことなんだけど。
(さらに一番最初の発端は置いといてね)
たしかに土足でズカズカ団地に行ったのは悪かったかもしれない。
でも池田エライザちゃん関係なくない?
子供の頃の孤独が貞子の大好物ってばあさん言ってたけどむしろ同じ辛さを背負ったもの同士いい方に導いてあげようよ。
「憎しみからは何も生まれないっ…!!!」
みたいなセリフを「ぴちぴちピッチ」で読んだ時鼻で笑った私だけど
まじでそう。
憎しみの生産性まじでゼロ。むしろマイナス。大赤字。
こっちは老後のこと考えて「年金もらえんのかなー」とかヒヤヒヤしてんだから将来の分母を減らすな。
(弟見る限り年金納めてそうな雰囲気はなかったけど)
しかも好物ってそれはもう完全に趣味じゃん。
ちゃっかり呪われてた池田エライザちゃんの患者さん(佐藤ひとみ)がそれを裏付けてる。
なんで動画に貞子を収めてない佐藤さんが被害に?
と思ったらどうも昔に周りの友達が被害に遭ったらしい。
その時に一緒にビデオ見ちゃったぽい。
いやでもビデオって何年前よ。
なんなの貞子ってば対象をリスト化して管理とかしてんの。
棚卸したら漏れを見つけた!ラッキー!張り切っていくぞ!みたいな勢いじゃん。
呪いたくって仕方がないみたいな。
情熱すごくない?
悪趣味なのが
弟が失踪して色んな情報を得ながら、
昔色んな人が間引きをしていた岩場に目星をつける。
そこでしっかり弟を見つけんのね。
それも突っ込みたいけど
とりあえずはいい、疲れるから。
んでそこで池田エライザちゃんが連れてかれそうになって弟が助けて代わりに連れて行かれるシーン。
一体失踪してからそこまで何日か具体的な数字はわからないけど確実に数日は経ってる。
なのに、何故エライザちゃん達がくるまで実行に移さなかったのか、邪魔する奴なんかいない方がいいに決まっているのに何故。
そこから考えられることっていったらもう完全に娯楽。
一番嫌じゃん、目の前でなんて。
最も人が嫌がるであろうシナリオ練っちゃってるよねこれ。
機は熟したと言わんばかりに目の前で。
まじ悪趣味。
辛い思いしてるからってやっていいことと悪いことがあると思う。
この辺りでだんだん腹立ってきた。
でもこのシーン、痴情のもつれみたいな絵で面白い。
あと後ずさるそぶりもなく後退していく貞子の重力もインタレスティング。
そしてラストシーン。
岩場の件で衰弱したのか病院で療養してるエライザちゃんが貞子と再会するシーン。
カーテン越しにUの字描いて移動する貞子。
はい、ここ。
2足歩行ですげー俊敏。
なんで今までわざわざ4足歩行してたの…。
しかもなんでわざわざ一周したの…。
Uの字の始点でいいじゃん。
そんなロングランしなくても…。
動線は短い方がいいじゃん…。
効率って知ってる?
そして貞子さん、ここで初のお顔公開→エンドロール。
てな感じで映画が終わった。
腹立ったりしたけどよくよく考えてみたら
井戸をわざわざよじ登ってくるスタイルを一貫しているあたりサービス精神が旺盛な方なのかもしれない。
悪趣味だとか娯楽のように呪ってるとか思ったけど
呪いの流儀として「最も恐ろしく」というのがあるのかもしれない。
自身の美学に則り、伝統を守りながら、呪うという自身の職務を全うしているその姿は健気にも映る。
共感できないし全然要らないけど。
そんな感じの映画でした。